特発性肺線維症(IPF)

【間質性肺疾患の分類】
間質性肺疾患
ー特発性間質性肺炎
    ー特発性肺線維症(IPF)
    ーその他の特発性間質性疾患(5型)
ー二次性間質性肺炎
    ー自己免疫性     ※関節リウマチ性など
    ー職業環境性     ※アスベストなど
    ー医原性     ※抗がん剤の副作用等

○原因の特定できない間質性肺炎を特発性間質性肺炎と言います。
◯原因が分かっている間質性肺炎には自己免疫性、職業環境性、医原性などがあります。
○特発性間質性肺炎は6つの病型からなりますが、最も頻度の高いものとして、「特発性肺線維症」があります。

【原因】
肺胞が度々傷つけられると、その修復でコラーゲン線維が増加します。
その結果、酸素やCO2の通り道である肺胞の壁(間質)が厚く、硬くなる(=線維化)ことで、酸素が取り込めなくなります。

【症状】
季節関係なく、咳や息苦しさが持続する。

【なりやすい人】
50歳以降の喫煙歴のある男性。
遺伝性ではない。

【治療薬】
ー抗線維化薬ー
肺の線維化の進行を抑制する薬。症状が急激に進行する「急性増悪」を抑える作用もあります。
⚫︎ピルフェニドン(ピレスパ®︎)2008年発売
⚫︎ニンテダニブ(オフェブ®︎)2015年発売

○ピレスパとオフェブのどちらが優れているかは結論が出ていません。
○ピレスパは光線過敏症の副作用、オフェブは下痢の副作用が約半数の方に起こります。
○IPFの方は重症度によって医療費助成制度があります。
※ピレスパ+オフェブ2剤の併用療法は期待されているものの、有効性・安全性は確立していません。
オフェブ服用中の方にピレスパ追加の臨床研究が行われている最中です。(2022年時点)

【注意事項:ピレスパ】
○光線過敏症が高い頻度で発現する。
○外出時は長袖を着用、日傘、日焼け止めを使う。

【注意事項:オフェブ】
○肝機能検査(AST、ALT、ビリルビン等)実施
※AST、ALTが基準値の3倍超えるなら中止検討。
○倦怠感、発熱、黄疸等が見られたら要受診。

(参考)
【TOMORROW試験】
対象:IPFと診断された患者432例
○4種類の用量のオフェブの安全性と有効性を評価
○オフェブ150mgの1日2回投与群は、プラセボ群、オフェブ50mg2回群、100mg2回群より肺機能低下(努力性肺活量FVCの減少)は減少傾向が見られた。

【PRAISE試験】
対象:FVC55%以上のIPF患者103名
○パムレブルマブ注の安全性と効果を検討、プラセボと同等の高い安全性が期待される。
◯現在、第3相臨床試験中

(参考文献)
Richeldi L, et al. N Eng J of Med. 2014 365: 1079
Richeldi L, et al. N Eng Journal of Med. 2014; 370: 2071-2182.
Richeldi L, et al.Pamrevlumab, an anti-connective tissue growth factor therapy, for idiopathic pulmonary fibrosis (PRAISE): a phase 2, randomised, double-blind, placebo-controlled trial.Lancet Respir Med. 2019 Sep 27. pii: S2213-2600(19)30262-0. doi: 10.1016/S2213-2600(19)30262-0.

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