なぜ弱さを見せあえる組織が強いのか

⚪️なぜ弱さを見せあえる組織が強いのか
(読む前の仮説)
1.心理的安全性が高いため、活発な意見を出しやすいから
2.下から意見が出ることにより、上位層はその後の戦略を立てたり、クラフティングしやすいから
3.社員の定着につながり、育成した社員が離脱しにくいから
4.意見の共有がされることにより、社員全員で同じ方向を向きやすいから
5.縦・横ともに連絡がスムーズで情報共有されやすく、行動が実行されやすいから

⚪️組織に発生する無駄 
駆け引きをし、欠点を隠し、不安を隠し、限界を隠す 
ー生じる理由ー(読前の仮説)
1.欠点があると他者から揚げ足を取られる恐れがあるから 
2.失敗すると昇進や雇用の維持に影響の出る恐れがあるから 
3.自分一人が異なる意見だと、弾圧や出る杭と見做される恐れがあるから 
4.成功するより失敗しない方が職務上、個にとっては有利なことが多いから 
5.(特に日本人の場合)同調圧力により、個の意見は排除される傾向にあるから

⚪️ロバート・キーガン リサ・ラスコウ・レイヒー
専門:発達心理学

⚪️著者の主張
1.OS(オペレーティングシステム)の進化という、本当の能力開発が必要
○これまで組織の中で取り組んでいた「育成」という概念と取り組みが、単なるアプリケーションの追加にすぎなかったのだとしたら、OSの進化に値するものとはいったい何だろう?
(仮:①戦略の立案力の向上
②戦略のクラフティング力の向上
③情報の下位への伝達力・横展開力・下位からの吸い上げ力の向上
④外部からの情報の収集力・外部への情報の発信力の向上 ?)

⚪️本書における「発達指向型組織(DDO)」の定義
⚫︎メンバー全員がどっぷり浸かれるような組織文化を設計する。
⚫︎組織そのものを能力開発の場にする。
⚫︎個人の発達を組織の大目標と位置づける。
⚫︎上記のようなアプローチを実行し、組織文化を通じて人々の成長を支援する「培養器(インキュベーター)」ないしは「加速器(アクセラレーター)」の役割を果たせる組織。

⚪️第1章
○いきなりDDOの現場に放り込むので刺激を吸収してほしい。

ー3つの会社ー
【ネクスト・ジャンプ】
○ECサイトの運営
○「無解雇」の方針を掲げる
○「失敗が成長を加速する」
とりあえずやってみることに勝る方法はない。
○「失敗を経験するための投資」は、同社で模範的な行動とされている。
失敗を味わったとき、学習の環境が生まれ、柔軟性が高まる。
○better me+better you=better us
⚫︎絶え間ない自己改善。他人に奉仕し充実感を与える。会社と地域のコミュニティ、相互への恩恵となる。

【デキュリオン・コーポレーション】
○エンターテインメントと不動産
○東洋と西洋の叡智を注入したような組織
○メンバーをコミュニティの意思決定、プロセスに参加させ、集合知を引き出す。責任を問われるのはリーダー個人だが、ビジネスを成功させる責任はグループ全体が共有する。
○「仕事を手放す」、肩書きに寄りかからず、知恵の共有を求められる。

【ブリッジウォーター・アソシエーツ】
○金融
○営利企業と海軍特殊部隊を掛け合わせたような雰囲気
○「目指すのは人を育てることであって、癒すことではない」と明言。
○「自分が優秀に見えているか心配することと、目標を達成することのどちらが大切なのか」、欲求に乗っ取られて行動していないか。
○アイディアの質を高めるために、基本原則の透明化と共有を行う。
⚫︎個人の責任を覆い隠さず、個人名を挙げて議論する。
⚫︎結果を生み出すシステムを設計する意識を持つ。業務内容を軸に組織をつくるのではなく、目標を軸に組織をつくる。
⚫︎目指すべきは、最良の答えを見つけること。手持ちの答えのなかから最良のものを選ぶことではない。

ー3つの会社の共通点ー
⚫︎社員に現状では成功できないような難しい役割を与える。そのうえで、絶えずフィードバックをおこない、新しい役割にふさわしく成長するよう促す。
「いまの役割を完璧にこなせるようになり、「背伸び」する余地がなくなれば、もはやその役割はその人にふさわしくないと考えられる。
⚫︎私的なことと公的なことは分離すべし、という一般的な組織における基本を覆している。
ー1章 視点ー
○ありのままの自分で仕事に臨んでいないのに、健全な行動を取っているつもりの人がいれば、多くのエネルギーが浪費される。その無駄を減らす取り組みを行うことが、好ましい影響を与える。

ー1章 感想ー
難しい役割を与えるだけでなく、「絶えずフィードバック」が大事と感じる。フィードバックなしでは、迷いと混乱を生み、挑戦を諦めてしまう。

⚪️FLOモデル (ネクスト・ジャンプの採用する、フォロワー・リーダー組織モデル)
ー構成ー
「キャプテン」
活動を指揮する。コーチから弱点のフィードバックを受け取る。
「コーチ」
キャプテンにリーダーシップの振い方をコーチする。
「右腕」
次の役割交代の時にキャプテン役を担う。
「左腕」
次の役割交代の時に右腕役を担う。

ー目的ー
全員の全般的なキャプテン能力とコーチ能力を高めること。

⚪️第2章・3章
○DDOを俯瞰し、理論的な土台と各組織の共通要素を見ていく。
【2章】発達するとはどういうことか?
「Developmental」という言葉の意味を掘り下げる
(読む前の仮説)
○気づき、成長となること。成長とは、個人の成長を通じて組織の数字利益の上昇、内部基盤・外部関係の構築、自主的な退職の減少など。
(読後)
○成長や発展は企業の場合、ビジネスの「サイズ」の拡大をさすことが多い。個人の場合も地位の「サイズ」の拡大を示す。
⚫︎本書の場合、社員のキャリアでなく人間としての発達に焦点を当て、組織の大きさより良くすることをまず考える。
⚫︎知性のレベルと知能のレベルは異なる。高いIQを持っても、環境順応型知性もいる。
⚫︎自己主導型知性の持ち主:優先度の高い課題を見わけて集中的に取り組む資質をもつ。しかし、そもそもの計画に欠陥があったり、機能していたフィルターが時代遅れになると悲惨な結果になりかねない。新しい情報を自分のフィルターに照らして自律的に評価した結果、代償を突きつけられるまで新しい情報を重く考えないこともある。
⚫︎自己変容型知性:情報受信のフィルターと自分が一体化していない。フィルターそのものを客観的に見る。
計画を強化し、磨きをかけ、修正するきっかけとなるような情報を得ようとする。

【人の発達を促す「培養器(インキュベーター)」】
○短所が表面化したとき、「結果」を変えるのではなく、本人の視野を広げさせ、内省させることで「原因」を変えようとする。

【3章】
【エッジ】
限界に挑むことへの欲求
①大人も成長できる
私たちは組織のすべての面で、メンバーの成長を後押しできる仕組みを築けているか?

⚫︎グルーヴ
「実践される慣行(プラクティス)」
⚫︎ホーム
「コミュニティ意識」

○環境保護や地域コミュニティへの貢献は賞賛に値し、刺激を与えてもくれるが、人の発達に取り組んでいるかどうかとは別の話。

【DDOの本質】
⚫︎Fixed Mindset
成功できるかどうかは天性の資質や才能で決まるという発想。
⚫︎Growth Mindset
つまずきを経験したとき、強い意志をもって努力できるかによって決まるという考え。

○DDOは万人向けの職場ではない。退職率は大半の組織より高い場合も珍しくない。

○利益のために行動するか、発達のために行動するかを選ばなくてはならないとしたら、あなたはどちらを選ぶか?
→両者は相互依存の関係にあるので、DDOは組織としての目標と、メンバーの能力の発達を一体のものと考える。

⚪️5章 営利企業を運営できるのか? DDOについてある誤解の一つ 最上級の幹部たちが若手のために「人事ごときの問題」で時間を割いているとしか見えない。しかし潤沢な資金なり放っておいても売れる商品がないと厳しいのでは?
(著者の反論)この3社は収益が高く、評価も高い。
(疑問)この手法をやっているから利益が上がってるのか?利益が上がったあと、それを維持するために安定を求めてこの手法を取ったのではないか?

「人はみな、進歩への欲求と現状維持への欲求の両方を内面にもっている。現状維持に傾きすぎる結果、社員がみずからの本当の指向を見出す機会を奪ってしまっている。」

⚪️免疫マップ
【1.改善目標】
○なにかに上手になりたいという表現を用いる
もっと知識習得を上手になりたい
知識を収益化するのに上手になりたい
【2.阻害行動】
○収益化に繋がらないと感じると、知識習得を止めてしまう
○収益化に全力を尽くしていない。やって後悔しないよう物怖じする。
○やらなければならないことを優先して、仮に多少時間が出来たとしても取り組まない。

⚪️結論 
利益の増加や株主価値の増大を目指していない。他の方法で成功している会社はいくらでもある。
人の発達を重んじ、その文化を築きつつ、ビジネスを大きく成功させることは可能。

⚪️読感
タイトルに「弱さ」とありますが、個人の心の弱さ等を指すのでなく、「弱点」という意味でした。怖れず弱点を話し合うことで強い集合体・組織になっていく。
安全圏にいるのでなく、積極的な意見発信を繰り返すことで、強固な組織へ向かいます。

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