「わかる」ということの意味

⚪️著者 佐伯 胖(ゆたか)
1939年生。
信濃教育会教育研究所所長
東京大学名誉教授
認知心理学

⚪️I-第1章 やってみてはじめてわかる
【大学教授問題】 学生数をS、教授数をPとする。
学生六人に対し教授一人いるときの式。

S=6P

S:P=6:1

【ケーキ屋さん問題】チーズケーキの売れる数C、アップルパイの売れる数A。チーズケーキ5個売れるごとにアップルパイ3個売れるときの数式。

3C=5A

C:A=5:3

問.どうしてそうなるのか?
→比。6人いる時に1人を足したい。5個ある時に3個を加えたい。逆の数字を掛けると正答が出てくる、がそれは何故か。

2つのものを比べたいとき、基準の数字に合わせる。基準を1=0.2C=0.33A

【サラダ・ドレッシング問題】
サラダオイルの量をO、酢の量をVとする。
サラダオイルは酢の三倍としたときの数式。

O:V=3:1
O=3V

主張:与えられた課題を与えられたものと見做さず、自分自身で「わかるべきこと」を設定しなおしていく。
変化させてはいけないと思い込まない。

学校教育の弊害:儀式化させすぎる。

花子さんをあめを七つ持っていました。おばあさんからいくつかもらって、あわせて12こになりました。おばあさんからいくつもらったでしょう。
7+5=12 こたえ 5 は誤答とされてしまう。

式というのは、答えが常に右はしに出てくることが鉄則とされているから。
しかし、数え上げて答えを5とするのは、計算法として大変合理的なもの。

⚪️I-第2章 状況をつなげてみてわかる
【ロケットからミサイル発射】
小さなミサイル、静止したところで発射するとマッハ1。マッハ2で飛んでいるロケットに搭載し、前方へ向けて発射するとどうなるか。

前へ進むか。衝突するか。

【幼児の自己中心性】
視点を自分の外へ出して、外からながめ直すことの困難さ。

【大陸間ロケット問題】
日本からアメリカへロケットで飛ぶ時と同じコースをアメリカから日本へ飛ぶときでは、所要時間は同じか。大気の影響は無視して考えよ。

【斜面をころがるトロッコ】

⚪️II-第2章 やる気のない子
心理学者による「やる気のない子」の特徴
・内的コントロールが欠けている
・目標設定が欠けている
・適切な手段選択が欠けている
・現実性感覚が欠けている
・自信が欠けている

やる気のない子はできごとを説明したり、自分の経験を語ったりする文章の中にも自然にあらわれる、とされる。

ー本当の理由ー
次の二つのことを否定されたくない
【外界の変化の原因となりうること】
勉強しなさいと言われて、始めたら自分の意思ではない。

【何らかの能力があること】
悪い結果に対するいいわけを用意する
・自分の能力のせいでなく、友達と遊んでしまった、体調が悪かった、馬が合わない、スランプ。
やらない、やれないという状況をデモンストレーションしているうちに本当にできなくなってしまった

⚪️II-第3章 「わかろうとする力」を育てる
自己原因性喪失の不安
「自分は外界の変化の原因になれないのではないか」

「評価する」「評価される」という関係は、本来、人間と人間の関係ではない。

「先生」というのは「どう教えるか」のみに関心のある人ではなく、好奇心と探究心をもって、文化に参加している人でなければならない。

⚪️Ⅲ 「わかる」ことから「なっとくする」ことへ
スーパーのベテラン買い物客の算数、ブラジルのキャンディの売り子の算数、六歳の就学前の子どものコイン遊びやコンピュータゲームを通しての算数
学校で学ぶことがと実生活が結びついたとき、納得でき、うまくやれるようになる。

⚪️Ⅳ 何のためにわかるのか
「感化を受ける」のは本来受け身でなく、自発的なこと。
受ける人の実感としては相手が影響を与えているようだが、実際は受け手が求めている。

⚪️筆者感 
本当の意味で理解するのは、時間がかかるため、とかく省略してしまいがち。
また現実世界ではなにが真であるか、分からないものも多い。
その場合は客観的なデータで裏付けて、自身で正解を求めるのが肝要。
外界への変化の原因となることを恐れず、遮断しないよう努める。

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