オミクロン株と治療薬

⚪️BA.5株
○オミクロン株の一種。アメリカやイギリスで主流になっており、東京都でも2022年7月中旬から主流になった。
⚫︎主な症状は倦怠感、咳、発熱で、症状の発現頻度が高い。重症化率はBA.2株と同程度。
⚫︎ワクチンによる発症予防効果は3回目2週間後で48.5%と推定される。
⚫︎抗ウイルス薬のレムデシビル、ラゲブリオ、パキロビッドが有効。
⚫︎日本にある中和抗体薬は効果が低い。

⚪️オミクロン株
オミクロンはα、β、γ、δ…と続く15番目の記号です。ν(ニュー)、ξ(クサイ)を飛ばした13番目の変異株になります。

○ウイルス表面のスパイクタンパク質の変異が多いため、感染力がデルタ株以上に強い。
スパイクタンパク質とは、ウイルスがヒトの細胞へ侵入するためのタンパク質です。

○重症化率は高くないが、必ず重症化しないわけではない。

⚪️感染症法 
【2類】結核、SARS
○入院勧告や就業制限、保健所への届出を直ちに行う。
【5類】季節性インフルエンザ
医療費の公費負担はなくなる。

⚫︎新型コロナウイルスは、2021年2月に、1〜5類とは別の「新型インフルエンザ等感染症」の分類で、2類相当の扱いとされている。

⚪️重症度
【軽症】
肺炎がなく、酸素投与が必要のない状態。
【中等症】
肺炎があるか、酸素飽和度94%未満又は酸素投与が必要な状態
【重症】
人工呼吸管理やECMOを要する状態

○全体の約20%が中等症に、約5%が重症になると考えられている。

⚪️抗ウイルス薬等の対象と開始のタイミング
⚫︎発症後数日はウイルス増殖が、そして発症後7日前後からは宿主免疫による炎症反応が主病態であると考えられている。
⚫︎発症早期には抗ウイルス薬又は中和抗体薬、そして徐々に悪化のみられる発症7日前後以降の中等症・重症の病態では抗炎症薬の投与が重要となる。

⚪️現在日本で適応のある薬

①抗ウイルス薬

【レムデシビル(べクルリー点滴静注用)】
⚫︎軽症者への投与は重症化リスクの高い患者のみが適応
⚫︎挿管の必要な重症例では効果が期待しづらいが、そこまでに至らない例では有効性が見込める。
⚫︎肝機能障害、下痢、皮疹、腎機能障害などの頻度が高い。
○薬価は治療1回(成人5日間)当たり約38万円。現状の2類相当では公費になるが、5類になると一部負担の発生が想定される。

【モルヌピラビル(ラゲブリオカプセル)】
⚫︎中等度I以下で有効と考えられる。
⚫︎妊娠及び妊娠の可能性のある場合には、使用できない。

【ニルマトレルビル/リトナビル(パキロビッドパック)】

②中和抗体薬

【カシリビマブ/イムデビマブ(ロナプリーブ注射液)】
⚫︎オミクロン株には推奨されない。

【ソトロビマブ(ゼビュディ点滴静注)】

③免疫調整薬・免疫抑制薬 
⚫︎重症感染症の適応

【バリシチニブ(オルミエント錠)】
○JAK阻害薬で、関節リウマチに適応がある。

【トシリズマブ(アクテムラ点滴静注用)】

【デキサメタゾン】

ーまだ承認されていないー
○塩野義製薬 メインプロテアーゼ阻害薬
年内の承認申請を目指す。

○抗ウイルス薬と中和抗体薬については、通常、併用療法は推奨されない。

⚪️ワクチン
コロナワクチンは通常のワクチンでなく、mRNAワクチンです。
mRNAワクチンは通常のワクチンと異なり、ウイルスの培養や加工が不要なため、短期間で作れます。
mRNAワクチンは、スパイクタンパク質の設計図(=mRNA)を送り込むことで、ウイルスの入っていない無害なスパイクタンパク質を体内で作ります。

【ワクチン】
○ファイザー製
3回目接種でオミクロン株に効果あり。2回接種だと25分の1の効果。
○モデルナ製
3回目接種でオミクロン株に効果あり。供給量の観点から3回目は半分の量になる。
半量でも抗体価は37倍になるとされ、また副反応も緩和されることが期待されています。

【ワクチン接種(4回目)】
対象:60歳以上 基礎疾患あり BMI30以上
ワクチン:ファイザー、モデルナ
間隔:3回目接種から5か月後
時期:5月25日〜
ー対象となる基礎疾患ー
・慢性の呼吸器の病気
・高血圧など慢性の心臓病
・慢性の腎臓病
・肝臓病
・糖尿病
・鉄欠乏性貧血以外の血液の病気
・がん含む免疫機能が低下する病気
・ステロイド薬服用者
・重度心身障害
・睡眠時無呼吸症候群
・重い精神疾患
などが該当すると厚生労働省より発表されています。

⚪️PCR検査
○臨床検査で最高位にある検査だが、陽性率70%程度で、30%の症例はコロナに罹患していても「陰性」と判定される。
この陰性はコロナ感染症ではないという意味ではなく、他者に移すほど多くのウイルスが咽頭部や唾液内にはいない、という意味。

【PCR検査キット(唾液)】
鼻の奥までキットを入れるより、偽陰性となるリスクが低い。
操作方法(メレコム社 BIOSAL)
①唾液を2.5ml採取する
②不活化液を入れる
③梱包して郵送する。
集荷から結果報告まで、1日ほどで連絡あります。

⚪️抗原検査
【抗原定量検査】
⚫︎分析機器で測定

【抗原定性検査キット】
○PCR検査や抗原定量検査のような精度はないが、ウイルス量が多いときには高い確率で検出できる。
ー診断用ー
○国から承認を受けている体外診断用医薬品。
商品名:チェックMR-COV19等。

ー研究用ー
○国の承認を受けていない研究用。診断には用いられない。
ドラッグストア等で購入可能。

【東亜産業 新型コロナウイルス抗原検査スティックTM】(研究用)
クリエイトSD ¥767。
⚫︎診断に用いることはできない。
①舌の上に2分のせて唾液を染み込ませる→②10分間待つ→③Cに線が入った状態で、Tに線が入れば陽性。線がなければ陰性。Cに線が入っていなければ無効。

コメント

タイトルとURLをコピーしました